公共WiFi利用の実態調査|約半数が「使わない」、約4割が個人情報を扱う操作を経験

外出先でのスマートフォン利用が当たり前となった今、「公共WiFi」は身近な存在である一方、安全性への不安も根強く残っています。

そこで今回、プラスト株式会社との共同調査として、国内での公共WiFi利用に関する実態調査を実施しました。

本記事では、調査結果から見えてきた公共WiFiの利用実態・リスク認識・実際の不安体験について詳しく解説します。

■調査概要

  • 調査名:国内での公共WiFi利用に関する実態調査
  • 調査手法:インターネットアンケート
  • 調査期間:2025年12月7日~12月15日
  • 調査対象:全国の20歳~59歳の男女
  • 有効回答数:500件
目次

公共WiFiは「使わない」が約半数。日常利用には定着していない実態が明らかに

まず、公共WiFiの利用頻度について質問したところ、約半数にあたる48.6%が「公共WiFiを使わない」と回答しました。

公共WiFiの利用頻度に関する設問

内訳を見ると、「ほぼ毎日(11.4%)」「週に数回(11.0%)」「月に数回(11.6%)」と、一定頻度で利用している層は存在するものの、「年に数回(17.4%)」を含めても、積極的に公共WiFiを利用している層は少数派であることが分かります。

  • ほぼ毎日:11.4%
  • 週に数回:11.0%
  • 月に数回:11.6%
  • 年に数回:17.4%
  • 使わない:48.6%

カフェや駅、商業施設など、公共WiFiが利用できる場所は年々増えていますが、今回の結果からは「使える環境がある=使われている」わけではないことが浮き彫りになりました。

公共WiFiの利用場所は「生活圏」と「移動中」に集中!

次に、公共WiFiを利用する場所について質問したところ、カフェ・商業施設・宿泊施設など、日常生活や移動の延長線上にある場所が中心であることが分かりました。

公共WiFiを利用する場所についての設問

  • カフェ:48.6%
  • 商業施設:46.7%
  • ホテル・宿泊施設:44.0%
  • 駅・空港:34.2%
  • 旅行先:27.2%

さらに自由回答では、病院、コンビニ、学校、電車内、道の駅、カラオケなど、「一時的に通信が必要になる場所」が多く挙げられました。

今回の結果から、公共WiFiは「長時間じっくり使う通信環境」というよりも、短時間・限定的な利用を目的として使われていることが読み取れます。

公共WiFiの危険性は「知っているつもり」が多数派

公共WiFiの危険性について、どの程度理解しているかを質問したところ、約8割が「理解している」「なんとなく理解している」と回答しました。

公共WiFiの危険性に関する設問

内訳を見ると、「理解している」は23.7%にとどまり、「なんとなく理解している」が52.9%と半数を超えています。一方で、「あまり理解していない」「全く知らない」と回答した人もあわせて23.4%存在し、知識の深さには大きなばらつきがあることが分かります。

  • 理解している:23.7%
  • なんとなく理解している:52.9%
  • あまり理解していない:18.7%
  • 全く知らない:4.7%

今回の結果から、多くの人が「公共WiFiは危ないかもしれない」という漠然とした認識は持っているものの、「どのようなリスクがあるのか」「どんな行動が危険につながるのか」「どう対策すれば安全なのか」といった具体的な理解まで至っている人は少数派であることがうかがえます。

「危険だとは聞いたことがあるが、詳しくは分からない」という状態のまま利用されているケースも多く、この認識の曖昧さが、外出先での安易な公共WiFi利用につながっている可能性も考えられます。

前問で明らかになった「短時間・利便性重視の利用シーン」と合わせると、リスクを十分に理解しないまま通信してしまう構造的な課題が存在していると言えるでしょう。

公共WiFi利用中に「個人情報に関わる操作」を行っている人が約4割

外出先でスマートフォンを利用する際に、実際に行ったことのある操作について質問したところ、公共WiFi環境下でも個人情報に関わる行動を経験している人が少なくないことが明らかになりました。

個人情報に関わる操作に関する設問

  • SNSログイン:28.6%
  • ID・パスワード入力:16.2%
  • オンラインショッピング(個人情報入力):12.6%
  • ネットバンキング利用:9.8%
  • クレジットカード情報入力:6.8%
  • 重要な操作はしていない:58.0%

今回の結果から、公共WiFi環境下であっても、約4割の人が個人情報や金銭情報に関わる操作を経験していることが分かりました。

これらの行動は、「なりすましWiFiへの接続」「通信内容の盗聴」「偽サイトへ誘導するフィッシング」といったリスクに直結する可能性があります。

「危険性はなんとなく知っているが、具体的な対策までは理解していない」層が多数を占めている状況を踏まえると、リスクを十分に認識しないまま重要な操作を行ってしまっている構造が浮き彫りになったと言えるでしょう。

約8人に1人が、外出先で「不安・ヒヤッとした」経験を実感

外出先でスマートフォンを利用する中で、「不安を感じた」「ヒヤッとした」経験があるかを質問したところ、13%が「ある」と回答しました。

ヒヤッとした経験があるかに関する設問

一見すると少ない割合に見えますが、これは約8人に1人が実体験として不安を感じたことがあることを意味します。多くの人が「特に問題はなかった」と感じている一方で、一定数は実際に違和感や恐怖を覚える場面に遭遇していることが分かります。

実際に多かった「不安・ヒヤッとした」体験内容

続いて、「不安・ヒヤッとした」体験の具体的な内容を自由回答で聞いたところ、公共WiFi利用時に起こりやすい典型的なリスクが多く挙げられました。

■多かった声の傾向

  • 謎のログイン通知・不正ログインの疑い
  • 怪しいWiFi名・正規と紛らわしい偽アクセスポイント
  • 見知らぬ広告や警告画面の突然表示
  • フィッシングメール・不審な請求通知
  • 画面ののぞき見や情報漏えいへの不安

■実際の声(一部抜粋)

  • 「ホテルWiFiと一文字だけ違うSSIDが表示された」
  • 「ログインしていないサービスからログイン通知が来た」
  • 「あやしいWiFi名から接続要求があった」
  • 「公共WiFiだと思って接続しそうになったが、名前が怪しかった」
  • 「身に覚えのない請求画面が突然表示された」
  • 「急いでいたので、詐欺メールと思わずにデータを入力しそうになった」
  • 「後ろの人が自分のスマホの画面を見てメモしていた」
  • 「見知らぬ外国語の広告が表示された」
  • 「安全でないサイトと表示された」
  • 「フィシングメールが届いて返信してしまった」

まとめ|公共WiFiは「身近」だが「安心」とは言い切れない実態が明らかに

今回の調査から、インターネット利用の中心は依然として自宅であり、公共WiFiは日常的な通信手段というよりも、外出先で一時的に使われる補助的な存在であることが明らかになりました。一方で、公共WiFiを「あえて使わない」人が約半数を占めており、利便性よりも安全性を重視する意識も強く表れています。

また、危険性については多くの人が「聞いたことはある」「なんとなく知っている」と回答したものの、具体的なリスクや対策まで理解している人は少数派でした。その結果、公共WiFi環境下でもSNSログインやID・パスワード入力、オンラインショッピングなど、個人情報に関わる操作を行っている人が約4割にのぼるという実態も確認されました。
さらに、約8人に1人が外出先で「不安・ヒヤッとした」経験をしており、自由回答からは、偽WiFiや不正ログイン通知、怪しい警告画面など、実際に違和感や恐怖を覚える場面が多く存在していることがうかがえます。

これらの結果から、公共WiFiは身近で便利な存在である一方、安心して利用できているとは言い切れない状況にあることが浮き彫りになりました。外出時の通信においては、「使えるかどうか」だけでなく、「安全に使えるか」という視点が、今後ますます重要になっていくと考えられます。

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