【災害時の通信調査】備えの最下位は「予備の通信手段」8.6%

【災害時の通信調査】備えの最下位は「予備の通信手段」8.6%

地震、台風、大雨による停電や通信障害は、いつどこで起きてもおかしくありません。スマートフォンが唯一の情報源・連絡手段になる場面も多く、いざという時に「繋がるかどうか」は暮らしの安心に直結します。

非常食や懐中電灯といった定番の防災グッズはよく知られていますが、通信手段そのものへの備えとなると、どこまで意識されているのでしょうか。

そこで今回、プラスト株式会社との共同調査として、全国の20歳〜59歳の男女500名を対象に「災害への備えと通信手段に関するアンケート調査」を実施しました。

本調査では、災害への意識や実際に用意している備え、通信が使えなくなった経験とその時に困った事、そして災害時にスマートフォンで最も優先したい事まで、通信と防災意識の実態を明らかにしています。

調査概要

  • 調査名:災害への備えと通信手段に関するアンケート調査
  • 調査手法:インターネットアンケート
  • 調査期間:2026年8月15日~8月22日
  • 調査対象:全国の20歳~59歳の男女
  • 有効回答数:500件

質問内容

  • 質問1:災害に対して、普段からどの程度意識していますか?
  • 質問2:災害に備えて用意しているものがあれば教えてください。
  • 質問3:災害や停電・通信障害で、スマートフォンやインターネットが使えなくなった経験はありますか?
  • 質問4:スマートフォンやインターネットが使えなくなった時、どのような事で困りましたか?
  • 質問5:災害時にスマートフォンで最も優先したいことを教えてください。
  • 質問6:災害時のスマートフォンやインターネットについて、感じていることや備えていること、経験したことがあれば教えてください。

※数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
※複数回答を含む設問では合計が100%を超える場合があります。

目次

災害への意識あり計67.6%、一方で「まったく意識していない」も3割超

災害への意識あり計67.6%、一方で「まったく意識していない」も3割超

災害に対して普段からどの程度意識しているかを尋ねたところ、「とても意識している」13.6%、「ある程度意識している」54.0%を合わせて67.6%が何らかの意識を持っていることが分かりました。

一方で「まったく意識していない」も32.4%と、3人に1人にのぼります。多くの人が漠然とした意識は持っていますが、その意識と実際の備えは必ずしも一致しないようです。

災害への意識

  • とても意識している:13.6%
  • ある程度意識している:54.0%
  • まったく意識していない:32.4%

「まったく意識していない」と答えた人が3割を超える一方、後述するように、実際に通信が使えなくなった経験を持つ人は約4人に1人います。意識の有無にかかわらず起こりうる出来事だといえます。

備えの1位は「非常食・飲料水」56.8%、通信手段の備えは最下位8.6%

備えの1位は「非常食・飲料水」56.8%、通信手段の備えは最下位8.6%

災害に備えて用意しているものを尋ねたところ、「非常食・飲料水」56.8%、「懐中電灯・ランタン」51.2%が上位を占め、「モバイルバッテリー」33.0%が続きました。

一方、「予備の通信手段(ポケットWiFiなど)」はわずか8.6%にとどまり、「その他」を除く実質的な備え項目の中で最下位という結果になりました。非常食や懐中電灯を備える人の6分の1程度にすぎず、通信手段への備えが後回しになっている実態が浮き彫りになっています。

災害に備えて用意しているもの

  • 非常食・飲料水:56.8%
  • 懐中電灯・ランタン:51.2%
  • 防災リュック:25.6%
  • 救急用品・常備薬:25.8%
  • 携帯ラジオ:23.0%
  • モバイルバッテリー:33.0%
  • 予備の通信手段(ポケットWiFiなど):8.6%
  • その他:4.2%

スマートフォンに関わる備えでも、「モバイルバッテリー」33.0%に対して「予備の通信手段」は8.6%にとどまりました。充電さえできれば使えるとは限らず、回線が止まれば結果は同じです。国内WiFiルーターのレンタル端末一覧では、1日単位で借りられる機種を容量や期間に合わせて選べます。

約4人に1人が、災害・停電・通信障害でスマホやネットを使えなくなった経験あり

約4人に1人が、災害・停電・通信障害でスマホやネットを使えなくなった経験あり

災害や停電・通信障害でスマートフォンやインターネットが使えなくなった経験があるかを尋ねたところ、「ある」は25.6%、約4人に1人が経験していることが分かりました。

「ない」が74.4%と多数派ですが、一定の頻度で誰もが直面しうるリスクであることがうかがえます。近年は地震だけでなく台風の大型化や記録的豪雨も増えており、想定すべき場面は幅広いといえそうです。

スマートフォンやインターネットを使えなくなった経験

  • ある:25.6%
  • ない:74.4%

ここで重要なのは、これが「起きるかもしれない」という想定ではなく、すでに4人に1人が通ってきた経験だという点です。備えの必要性を判断する材料としては、十分な数字といえるでしょう。

困った事の1位は「家族と連絡が取れない」52.3%、2位「情報が確認できない」も僅差

困った事の1位は「家族と連絡が取れない」52.3%、2位「情報が確認できない」も僅差

前問でスマートフォンやインターネットを使えなくなった経験が「ある」と回答した128名を対象に、使えなくなった時に困った事を尋ねたところ、「家族や知人と連絡が取れなかった」52.3%が最多となり、「災害情報や交通情報を確認できなかった」50.0%が僅差で続きました。

この2項目が突出しており、「キャッシュレス決済が使えなかった」18.8%以下とは大きな差があります。スマートフォンが使えなくなった時、最も打撃が大きいのは「人とつながれないこと」「情報が入ってこないこと」だといえそうです。

スマホやネットが使えなくなった時に困った事

  • 家族や知人と連絡が取れなかった:52.3%
  • 災害情報や交通情報を確認できなかった:50.0%
  • キャッシュレス決済が使えなかった:18.8%
  • 仕事や学業に支障が出た:15.6%
  • 地図・ナビが使えなかった:9.4%
  • その他:8.6%

その他では、「複数回線を所持していて切り替えたので問題なかった」という声もあり、備えの有無が実際の被害の大きさを左右する可能性がうかがえます。

災害時に最優先したいのは「家族の安否確認」50.0%、2位の3倍以上

災害時に最優先したいのは「家族の安否確認」50.0%、2位の3倍以上

災害時にスマートフォンで最も優先したいことを尋ねたところ、「家族・知人の安否確認」が50.0%で圧倒的な1位となりました。2位の「災害情報・避難情報の入手」16.4%を3倍以上引き離しています。

「自分の無事を伝える連絡」12.6%も合わせると、家族・知人との連絡に関わる項目だけで62.6%に達します。前問で最も困った事の1位が「家族と連絡が取れない」だったこととも符合しており、通信手段が“つながらない”ことの影響は、この安否確認のニーズに直結しているといえます。

災害時のスマートフォンで最も優先したいこと

  • 家族・知人の安否確認:50.0%
  • 自分の無事を伝える家族や知人への連絡:12.6%
  • 災害情報・避難情報の入手:16.4%
  • 地図アプリでの避難所などの検索:3.8%
  • 交通やライフラインの復旧状況の確認:5.8%
  • 職場や学校への連絡:2.6%
  • SNSでの情報収集や発信:8.2%
  • その他:0.6%

「災害情報・避難情報の入手」16.4%や「交通やライフラインの復旧状況の確認」5.8%も一定数を占めており、安否確認と並んで、状況把握のための情報収集を重視する声もうかがえます。

不安の中心は「バッテリー切れ」、家族と集合場所を決める声も

最後に、災害時のスマートフォンやインターネットについて感じていることや備えていること、経験したことを自由回答で尋ねたところ、回答内容は大きくいくつかの傾向に分類できました。

以下は、実際の回答内容に基づく分析です。

最も多いのは「バッテリー切れ」への不安

最も多く見られたのは、充電が切れることや電源を確保できないことへの不安です。

実際の回答例
  • 「バッテリーがなくなってからどうすれば良いか」
  • 「モバイルバッテリー自体の充電もすぐになくなってしまうため、避難所等でコンセントがどのくらい確保されているかは気になる」

通信手段そのものより先に、電源が尽きることへの不安が根強いことがうかがえます。モバイルバッテリーを備えていても、それ自体の充電が切れた後をどうするかという、一段深いところまで心配する声も見られました。

「本当につながるのか」という通信への不安

次に多かったのが、回線の混雑や通信障害でつながらなくなることへの不安です。

実際の回答例
  • 「回線が混みあっていて使用できない場合の連絡手段がない事が不安」
  • 「多数の人が安否確認のため使用すると思うのでつながるかどうか不安」

多くの人が一斉に安否確認を試みる状況を具体的に想像している点が特徴的です。「名の通った大手ほど長時間のネットワーク障害・サーバ障害を起したので過信できない」というように、契約先の規模にかかわらず備えが必要だと考える声もありました。

家族との集合場所や連絡方法の取り決め

通信が使えなくなる前提で、あらかじめ家族と取り決めをしているという声も寄せられました。

実際の回答例
  • 「携帯はバッテリーが全てなので、もし切れた時に家族で集合場所などを決めています」
  • 「家族内で役割分担を決めている(避難リュックを持つ係、ランプや懐中電灯を持つ係など)」

スマートフォンが使えなくなることを織り込んだうえで、通信に頼らない代替手段を用意している層です。前問で「家族・知人の安否確認」が最優先に挙がったことを踏まえると、その手段を通信だけに委ねない工夫といえます。

携帯ラジオなど、通信以外の手段の備え

実際に役立った経験として、携帯ラジオを挙げる声も見られました。

実際の回答例
  • 「停電時でも使えるので携帯ラジオが役立った」
  • 「スマホの充電が切れることにより、インターネットが使えないことが不安に感じます。また、携帯ラジオは普段から利用していたので、地震での停電時には役に立ちました」

情報を受け取る手段としてラジオが機能した一方、双方向の連絡はスマートフォンに頼らざるを得ません。「つながらなくなった時に備えてポケットWifiを利用しています」のように、予備の通信手段を用意している人も少数ながら存在しました。

デマ・情報の真偽への懸念

通信が使えること自体とは別に、流れてくる情報の信頼性を心配する声もありました。

実際の回答例
  • 「非常時には偽情報が氾濫するので注意が必要だと認識しています」
  • 「SNSでデマが流れて本当の情報がどれだか分からなくなることが不安」

つながることと、正しい情報にたどりつくことは別の課題だという認識がうかがえます。情報源が限られる災害時ほど、複数の手段で確かめられる状態にしておくことの意味は大きそうです。

今回の自由回答からは、不安の中心が通信そのものよりもまず「電源」にあり、続いて「本当につながるのか」という回線への不安が並ぶことが分かりました。一方で、家族との集合場所を決める、携帯ラジオを用意するなど、通信が途絶えた場合を見越した備えを実践している層も一定数存在しています。

【まとめ】備え最下位の「通信手段」が、実は最優先の「安否確認」を支えている

今回の調査から、災害への意識自体は67.6%と高い一方、「予備の通信手段」を備えている人は8.6%にとどまり、非常食や懐中電灯と比べて大きく後回しになっている実態が明らかになりました。

一方で、実際にスマートフォンやインターネットが使えなくなった経験がある人(128名)が最も困ったのは「家族と連絡が取れないこと」であり、災害時にスマートフォンで最も優先したいことも「家族・知人の安否確認」が突出して1位でした。

つまり、最も備えが手薄な「通信手段」こそが、多くの人が最優先したいと考える「家族との連絡」を支える土台になっています。非常食や懐中電灯と並んで、予備の通信手段をひとつ準備しておくことが、いざという時に“つながらない”不安を減らす近道になりそうです。

バッテリー切れへの不安が自由回答で最も多く挙がっていた点も見逃せません。通信手段そのものを備えていても、電源が尽きてしまえば意味がなくなります。モバイルバッテリーと合わせて、通信手段そのものの備えを見直すきっかけとして、今回の結果を役立てていただければと思います。

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